フルブライト交流事業

鳥海陽史

2021年度 大学院留学プログラム
留学先:Harvard University

デザイン会社でのインターン風景

No.52
入念な準備が実り、念願の大学へ留学――アーバンサイエンスという先端領域への挑戦

フルブライト奨学金を知ったのはインターネット検索だった。「退職し、家族を連れて留学することを決めていたので、奨学金なしでは、金銭的に厳しい状態でした。フルブライト奨学金は学費と生活費が手厚いという魅力に加え、フルブライターのネットワークが強いと知り、その仲間に入ってみたいというのが大きなモチベーションになりました」

国際協力機構(JICA)での経験と学部課程での都市計画専攻を活かし、「開発途上国における健全な都市化を目指した開発管理」を研究テーマとした。このテーマに近年、注目を集めるデータサイエンスや機械学習の手法を取り込もうというアイデアをもっていた。

留学先として、Harvard University に在籍しながら Massachusetts Institute of Technology (MIT) でも授業を受けた。大学間連携による授業の相互履修が可能だったからだ。両校の授業で扱うテーマ毎に課される読書量は膨大だったが、データサイエンスで使われるプログラミング言語や空間解析ソフトを使った研究法に力を注いだ。心が安らいだのは、家族と一緒に近くの公園やミュージアムで共に過ごした時間だった。

留学中、新しい考えとの出会いがあった。アメリカ社会では、一生ひとつの会社に勤めるというより「キャリアは自分でつくる」という考えだ。「スキルを身につけ、そのスキルに適合した仕事でさらに磨きをかけてステップアップする。キャリア形成という自覚が生まれたのは、留学生活を通して得た大きな収穫でした」

留学を終えた今、これから留学を考えている人へのアドバイスとして「できることはほんの少しずつでも準備していくこと」と勧める。「留学時期が未定でも、英語力はもとより、出願に必要なエッセーや推薦状の準備をしていけば、あとはそれをまとめて応募するだけなので、いつかは留学できるタイミングにたどり着くはず」とエールを送った。

彼自身は、今後、都市計画とデータサイエンスを融合したアーバンサイエンスという新領域に挑もうとしている。


留学先である Harvard University Graduate School of Design の様子

週末に娘と足繫く通ったボストンコモン


大学を見下ろす景色、同期のフルブライターたちと


卒業するころには家族が一人増えていました