メニュー 

日本人対象 奨学金の種類

FLTA 募集情報にもどる

フルブライト語学アシスタントプログラム(FLTA)

2017年度 参加者レポート

2017年度参加者 
1  2  3  4  5  6  7  8 

古田ゆかり Georgia Southern University (Statesboro, GA)

中間レポート

 ジョージアサザン大学に派遣されている古田ゆかりです。今年度が初めての日本人FLTAの受け入れということで、お互いに手探りの状態で始まったプログラムでしたが、他の言語の先生方やTAにも支えられながら、貴重な経験を数多くさせていただいています。前例がないので、このレポートでは派遣先大学のことを中心に報告したいと思います。

ジョージアサザン大学
 ジョージア州のステーツボロという小さな学園都市にある州立大学です。学生数2万人の大きな大学ですが、広大なキャンパスのおかげで混みあった印象は受けません。キャンパス内には公園や湖がたくさんあり、天気のいい日にはベンチに座って勉強する学生の姿をよく見かけます。
 一番近い都市サバンナまでは車で1時間、州都アトランタまで車で3時間。町はコットン畑に囲まれた、いわゆる田舎町で、電車はもちろんバスも走っていません。車がないとどこにも行けず不便を感じることは多々ありますが、ジムやプラネタリウム、植物園など、大学の施設が整っているので、キャンパス内でも楽しめます。
 大学周辺は学生寮やアパートに囲まれているので、比較的治安はいいですが、前学期はキャンパス付近での強盗事件が数件報告されていました。とはいえ、夜中に一人で出歩かなければ何も心配ありません。

TAの仕事
 秋学期は、初級から上級までの5クラスのうち、初級の2クラスのアシスタントをさせていただきました。主な仕事は、出欠の確認、宿題チェック、小テスト・試験等の採点、教材準備、授業内プロジェクト(プレゼン)のコンサルテーションです。また、難しい文法説明のない、ひらがな・カタカナ・漢字の練習や、解説が終わった後のアクティビティを任せてもらいました。初級クラスは一クラスに30人ほど学生がいて、名前を覚えるまでが大変でしたが、毎日のように宿題や小テストに目を通しているうちに個々の特徴が見えてきて、次第に授業もやりやすくなりました。
 また、日本語の授業を履修する学生が毎学期70人ほどいるのに対し、日本人の先生が一人しかいないため、中級・上級クラスに関わることもありました。ダイアログの暗唱確認、発音チェック、プロジェクトのコンサルテーションやリハーサル等、少人数の学生と話すチューターのような仕事でした。
 一番大変だったのが、全5クラス分の中間・期末試験の採点です。特に最初のうちは、アメリカ流の採点基準の甘さに戸惑うことが多く、これでいいのかと何度も自問自答しました。また、自分が教えていない中級・上級クラスに関しては、何が正解で何が悪いのか、自分でもあいまいな部分があり、改めて日本語の難しさを感じることもありました。

授業外の活動
・オフィスアワー
 授業のない火曜日と木曜日に90分間オフィスアワーを設けました。中級・上級レベルの生徒を中心に、プレゼンの練習や発音の確認、作文の添削を行います。担当クラスの生徒以外と関わるいい機会になりました。

・Japanese Club
 週に1時間、日本の文化を紹介・経験する活動です。学生が主体となって活動しているので、私の仕事は出席をとるぐらいでした。日本語を学んでいる学生以外も多く参加していて、毎回30~40人ほどのにぎやかな活動になっています。日本の映画やアニメを見たり、合気道クラブと合同練習をしたり、習字体験やカラオケ大会、忘年会もありました。日本人留学生6人を巻き込み、クラブ全体でとても仲の良い雰囲気ができています。

・Japanese Tea and Conversation Hour
 週に1時間、日本語の会話を練習する活動ですが、一番時間と労力を使う仕事になっています。Tea Hourという名前から、お茶を飲みながらゆっくり会話を楽しむ、というチューターのような仕事を想像していましたが、実際は毎回30人前後学生がやってくるので、そんな余裕はありません。しかも、学生のレベルは、ひらがなも読めない初心者から、日本への留学経験がある上級者まで幅広く、どんな活動なら全員に日本語を話す機会を与えられるのか、常に試行錯誤しています。幸い、日本人留学生のおかげで、小グループに分かれて活動ができるので、日本語を使ったゲームをすることが多いです。ディスカッションやディベートをしてみたいという気持ちがありつつ、インプット中心の活動が多くなってしまったので、春学期はその点に挑戦したいと思っています。毎週違うテーマとアクティビティを考えるのは大変ですが、いろいろな教授法を自由に試せるのでとても貴重な経験になっています。

・International Festival
 毎年11月に大学主催で開催されている地域のお祭りです。せっかくの機会だったので、今年初めて日本のブースを出させてもらいました。日本クラブの学生にボランティアをしてもらい、折り紙と習字の体験ブースを開き、クラブの資金集めに抹茶クッキーを販売しました。大学の外に出てみると、まだまだ日本文化は知られておらず、来年以降もぜひ続けていってほしいと思うと同時に、こういった異文化交流の機会があれば、もっと参加していきたいと思いました。

聴講クラス
 秋学期はRise of US to World PowerとMethods of ESOLの2つを聴講しました。CreditではなくAuditでの履修なので、課題や試験はありません。楽をしようとすればいくらでも楽ができるため、一緒に聴講していた他国からのFLTAは授業を聞いていなかったり、途中から授業に来なくなったりもしました。Auditの私たちへの対応も教授によって異なり、すごく歓迎して気にかけてくれる教授もいれば、深く干渉しないスタンスの教授もいました。学び方は自分の意識次第だと思います。個人的には、レクチャー型のRise of US to World Powerはノートをとる練習になり、ESOLでは様々な教授法が学べたので楽しかったです。

 春学期は初級の2クラスをほぼ一人で任せてもらえたので、さらに忙しくなりそうですが、自由度が増す分、いろいろな教授法に挑戦していきたいです。残り僅かな時間を大切に、存分に楽しみたいと思います。

2. 市倉充智 University of Wyoming (Lalamie, WY)

中間レポート

 ララミー空港に到着し、牧歌的な雰囲気を肌に感じてから五ヶ月が経ちます。私はワイオミング大学に派遣されていますが、大学や周辺環境に関しては2016年度FLTAの栗尾公子さんが詳述してくださっているので、そちらをご参照ください。私からは、応募のきっかけ、学生としての授業、日本語の授業、という三点についてお話をしようと思います。
 まず一点目ですが、私が何故このFLTAプログラムに申し込んだのかについてお話します。私は金銭的な都合から長期留学を経験したことがありませんでした。私は元々、英語は日本にいても十分出来るようになると息巻いていた人間ですし、今でもその考えは変わっていません。しかしながら、このグローバル化が進む昨今、英語教師に要求される「英語」は本当に多岐に渡ります。文法力だけではなく、高度なコミュニケーションスキルや実体験に基づく文化理解など、英語に関することなら何でも求められるようになってきていると感じます。英語の資格を習得したり、英語学専攻で修士課程にも通いましたが、それでもプロフェッショナルとして「英語」を扱うことに一抹の不安を感じていました。時代が要求する「英語」教師としての素養を網羅的に身につけるためにも、長期留学という英語圏滞在が常に念頭にありました。そんな折、お世話になっていた大学の先生からFLTAプログラムをご紹介いただきました。このプログラムでは渡航費や滞在費は全額Fulbrightが負担してくださいますし、海外の大学で教育に従事することが可能な点で非常に魅力的に感じました。換言しますと、金銭面で負担にならず、これからの「英語」教師として不可欠だと感じていた部分と、他国で教育に関わるという希有な経験の双方を与えてくれるプログラムだったので応募に踏み切りました。
 学生として、秋学期はIntroduction to PhilosophyとTechnical Writing for International Studentsを、それぞれAuditとCreditで受講しました。哲学の授業は扱う内容そのものが抽象的で難しく、予習・教授の解説・復習、全てがとても大変でした。基本的に、教授の許可を得て授業を録音して復習に役立てました。ライティングの授業ではCover LetterやResume、Proposalの書き方など、目的に応じたライティングを学びました。中でも印象に残っているのは英文のトーンについて学んだことです。目的や状況、読み手に依って英文の書き方を工夫するという内容ですが、コンテクストに準じて読み手側が想定するであろう英文のニュアンス、文章のformalさを考慮した単語のチョイス、企業が使用する英語表現と顧客のそれとの差異等、なかなか日本では学ぶことが出来ない内容だったので非常に有意義でした。帰国してライティング指導に当たる時にも応用できる内容だったので本当に満足しています。
 第三に日本語教師としての仕事に関して述べますが、このレポートをご覧になる方の多くが大変興味を持つ内容だと思うので、なるべく詳しくお伝えします。ワイオミング大学にはアメリカ人の日本語教師が一名いらっしゃいますが、日本語ネイティヴの教員がいないせいもあり、非常に手厚く、また絶対的な信頼と敬意を持って教職員が接してくれます。個人用の研究室が与えられ、基本的には授業内容を一人で考え、当然授業自体も一人で教壇に立ちます。秋学期の私の授業スケジュールは以下の通りでした。

1st year Japanese ① → 月曜日から水曜日まで各50分(文法、聞き取り等)
1st year Japanese ② → 木曜日の50分(文化紹介や文法演習)
2nd year Japanese → 木曜日の50分(会話練習や文法復習)
3rd year Japanese → 金曜日の50分(文法演習や読解問題解説)

 以上の計六コマを担当しました。このうち、1st year Japanese ① は私が主担当だったので、授業の構成や内容の検討だけでなく、私の授業用にシラバスの編集を手掛け、小テストや試験問題の作成、課題の確認や成績管理、Final Gradeの入力まで全て一人で行いました。学生がこれまでに学んだことを私が理解しているので、授業構成を練るのは非常に楽しいですが、やはりそれ相応の授業準備は伴います。それでも、学生が毎日休まず授業に来て忌憚なく質問をしてくれたり、悩みを打ち明けてくれたりすると、主担当で良かったな、と思います。
 授業をしていて驚いたのは、上級生ともなると時として学生の方が日本について興味関心・知識があったことです。「禅って?だけど、こういう時はどうするの?」「○○城は何県だっけ?」等々、歴史文化に関わることや、「日本と北朝鮮の外交に関してどう思う?」「日本の政党とアメリカの政党の違いは?」などの政治に関すること、自身の日本に対する浅学さを痛感しました。(それだけこちらの先生と去年度FLTAの栗尾さんが日本への関心を与えていると考えると、同時に嬉しくもあります。)

 とても閑静なララミーですが、当初感じた通り、雑踏にまぎれることもなく落ち着いた環境を楽しめています。春学期は主担当が二つになり、とても忙しくなる予感がしますが、こうした機会を提供してくださっているFulbrightへの感謝を忘れずに、自分のためにも学生のためにも尽力していきたいと思います。

3. 木村浩樹 Carleton College, (Northfield, MN)

中間レポート

 ミネソタ州ノースフィールドの霧のような雪の美しさと肌を刺すような寒さは渡米前の私の想像を大きく超えていました。厳しい寒さの中でもたくましく元気なカールトンカレッジの学生達に元気をもらいながら日々を過ごしています。この中間レポートでは、秋学期における私の仕事や生活について報告します。

LAとしての仕事
 私は、language Associate呼ばれる役職の基、日本語授業の補佐(初級クラスと中級クラスの2つ)と日本文化の紹介を目的とする課外活動の運営を担っています。日本語授業の補佐としては、主に会話練習、小テスト・ワークブックの採点と記録、試験監督、毎週金曜の授業(初級クラスのみ。Laboと呼ばれる特別教室で会話練習を主としたもの)、週3時間のオフィスアワーを担当しました。中でも最も時間を費やしたのが小テスト・ワークブックの採点と記録です。採点基準が初級と中級で違うため混合してしまったり、部分点の判断を担任の先生に逐一確認を取らなくてはならなかったり、問題数が何問であっても規定の点数を満点としたときの点数で採点をしなければならなかったり、初級・中級どちらもほぼ毎回の授業で小テストがあるため慣れないうちは圧倒されました。慣れてくると、学生の共通の間違いに気づくようになり、授業中にフィードバックができるようになりました。
 課外活動の面では、夜7時から始まるお茶の時間と映画の時間、お昼の時間に行うランゲージテーブルをそれぞれ週に一回ずつ担当しました。お茶の時間は学部の予算内で、自由に活動を行えます。今学期は例年通り日本料理や和菓子作りを行いました。文化交流の場としてだけでなく、学生同士の交流の場でもあるため、できる限り多くの学生を巻き込めるように日本語を履修していない学生にも積極的に声をかけました。10回を通して平均約12人の学生が参加してくれました。参加率の向上と維持を心がけていた私にとっては嬉しい結果でした。
 映画の時間では、日本映画や日本ドラマを映画字幕をつけて学生と鑑賞しました。授業中の学生の様子や学生のリクエストを考慮して動画を決めました。東京の乱立した高層ビルや道路を歩く群衆の様子は興味深そうな表情で見ていました。また、作中でお礼やお詫びをするたびにお辞儀をする主人公を眉をひそめながら見ている学生もいました。上映中に多くの質問を受けましたがほとんどが日本人の性格的な特徴についてでした。学生の質問に四苦八苦しながらも学生と一緒に楽しむことができる時間でした。
 ランゲージテーブルとは食堂の一角で日本語クラスを担当している先生方と学生が自由にお昼ご飯を食べながら交流するものです。毎回20人近くの学生が来るので食堂が開いてすぐ場所を取りにいかないといけません。この場では休日や空き時間の作戦会議が始まることが多く、どこに、だれと、なにをするのか等学生が日本語で話す様子が見られます。さまざまな日本語レベルの学生が集まるのですが、ときどき、上級クラスの学生からくだけた表現を教えてもらった初級クラスの学生が私にその表現を冗談っぽく言ってくることがありました。そのような表現の使い方について簡単に指摘しますが、さまざまな日本語に親しんでいる様子を見て嬉しくなりました。
 周りに娯楽が少なく、室内で過ごすことが多いカールトンカレッジの学生にとってLAが担う課外活動は学生にとって貴重なものです。お茶の時間は張り切った様子で「何か手伝えることはありませんか?」と聞いてくる学生がいました。映画の時間ではコメディ作品を見せると廊下まで笑い声が響くくらい盛り上がります。素直で真面目なカールトンの学生たちと無邪気になって楽しめるこれらの活動は私にとっても貴重で、とても大切なものです。

カールトンカレッジについて
 カールトンカレッジはアメリカの最北部に位置するミネソタ州の小さな町ノースフィールドにあります。今年の気温は例年に比べ暖かいそうですが、マイナス30度を下回る時期もあり、その時期は防寒着で顔全体が覆われた学生たちが、少しうつむきながら足早にキャンパスを移動する姿が見られ、キャンパス全体がどこか寂しい雰囲気でした。私も慣れない防寒着とブーツに窮屈さを感じることが多く、心身ともに厳しさを感じることが多かったです。
 冬は天候が厳しいですが、学生にとって勉強に没頭しやすい環境です。大きな特徴として挙げられるのはコミュニティ内のつながりの強さです。初めて図書館を歩いて見て回ったときに、一人で勉強している学生が少なかったことは印象に残っています。多くの学生がチューター制度を利用しており、クラスもグループワークが多く、総学生数約2000人と学生数が少ないためオフィスアワーでは先生に直接質問ができる確率はかなり高いです。私もライティングセンターのチューターを利用しているのですが、同じ授業を履修している学生を紹介してもらい、大変ありがたかったです。また、 学生と先生との距離はかなり近いものだと思います。私のオフィスアワーには、「ちょっと通りかかったから」と言って声をかけてくれる学生がいます。 日本語を履修している学生は私を見かけると必ず日本語で挨拶をしてくれます。最初は私に対して緊張している様子の学生もいましたが、今ではほとんどの学生に気軽に声をかけられます。最近では私を見かけると必ず質問をしてくれる学生も現れ、熱心に勉強する姿に刺激をうけています。

 カールトンカレッジでの生活が折り返し地点にきた今でも、仕事や生活への不安・ストレスは少なくありませんが、大学時代の恩師、元勤務先の先生方、そしてずっと温かく見守ってくれた家族に胸を張って報告ができるように残りの日々もより一層精進していきたいと思います。

4. 木内美恵 Brandeis University(Waltham, MA)

中間レポート

1.派遣先大学について
 今年初めてのFLTA(日本語)としてブランダイス大学に派遣されています。大学はアメリカ東部に位置するマサチューセッツ州のボストン郊外にあります。中規模のユダヤ教系私立大学で、研究大学として知られています。全ての人に開かれた大学であること、3つの礼拝堂があることも特徴の一つです。また、ちょうど今年の話題ですと、2017年のノーベル生理学・医学賞を受賞されたことで存知の方もいらっしゃるかもしれません。

2.日本語授業と日本文化紹介の機会について

 秋学期、日本語の初級・中級クラスとTopics in Contemporary Japanese Culture and Societyクラスの3授業にアシスタントとして参加しました。その他、発音クリニック・Office hour(日本語授業を開講しているビルにオフィスをいただき、ロシアからのFLTAと共有しています。この時間は、授業の復習や、個別の質問を受けたり、会話練習やビジネスで使う日本語表現等の練習をしたり、インターンシップをしている学生や将来日本で働きたい学生等と様々な話をしたりしました)・日本語スピーチ大会の参加・テスト監督・採点・宿題(クラスに合わせてチェックの際に工夫をしました。熱心に課題をこなす学生に感心しながら、解答から間違いの傾向や理解度を知る大事な時間になっています)。授業では突然歌を歌ったり、日本の学校についての話を共有したりすることもありました。いずれにしても常に様々な形でサポートができるよう心の準備をしておく必要があります。大学には「I am global week」という約1週間にわたる行事があります。そこで、「Language Lunch、 Global Bazaar、Art of Japan」といって日本語や日本文化を紹介する機会がありました。Art of Japanでは 折り紙を始め、判子やせんす作りを一緒にしました。思った以上に興味を持って立ち止まり参加する学生がいることに嬉しくなりました。その他、JETプログラムや日本で働くにはと題して行われた講話にも学生と参加をしています。
 そして、ブランダイスには日本人学生協会があり、学生の母体がしっかりしていて活動的です。最近ではJapanese New Yearもあり、日本の正月を紹介し、お雑煮を提供したり、福笑いや年賀状作成などができたりするブースを作り、盛り上げていました。このように基本は学生主体で、私は「リソース」の立場で学生のサポートをしています。春学期のLanguage tableに関しては時間を合わせてよりサポートができるように動いています。

3.履修授業について
 EducationからThe Psychology of Love-Educating for Close Relationshipsと、American studiesからAdvertising and the Mediaのコースを受講しました。久しぶりに学生として授業を受ける楽しみと、内容の面白さが重なり、授業前に胸が躍りました。毎回、課題となるリーディングの内容についてグループディスカッションがありました。課題を読みそこからディスカッションの内容を考え出すのもグループメンバーが交代で行いました。異文化間の違いについて話すこともあり、そのような時は日本人の一人ではあるにしても、内容やことばに注意して話そうと意識を高く持つようにしていました。ただ思うように伝えることができないもどかしさに葛藤していました。しかし、お互いの話を聞こうとする姿勢や雰囲気づくりに感謝とそれがまた学びになりました。また、実際に自身が被験者になり対話をした実験や現地の方にインタビューをしたものを音声から論文にまとめたり、専門家からの講義などもあったり、特徴ある実践的な授業でした。後者は広告と近代アメリカの社会、文化、政治、経済発展との関係と、それがどのようにアメリカ人の特徴として形成されたてきたのかを理解するという内容。どちらも講義中心というよりも、参加型、対話型でした。授業の内容ももちろんですが、授業の様子や形態から、日本での経験を通して得たものと比較することができ、これも収穫できたことの一つだと考えています。

4.生活について
 家を留学生の大学院生、地元の大学生、社会人と共有しています。学校の施設とは全く別ですので、完全自炊で、掃除、ごみ出し等の細かいことは話し合って協力しています。買い物は徒歩、バス、車を乗り合わせるなどしています。家・部屋に問題があれば大家さんに、共同生活なのでハウスメート同士で助け合うこともあります。冬…先日も大寒波が到来し、やはり寒さと安全対策は大事だと痛感したところです。しかし、私には生活スタイルや風土が合っていて自然と馴染んでいます。
 その他の活動として-ボランティア活動、コミュニティー活動への参加をしています。大学での主催を含めて炊き出し、物資調達準備などに参加しました。また、キャンパスでは他の言語のTAとの出会いもあり、考えを共有できたりする機会があります。

5.世界からのFLTAと春学期について
 そして、このプログラムによって得られる50か国以上のFLTAとの出会いは素晴らしい経験でもあります。アーカンソーでのオリエンテーションとワシントンで行われた400名以上が集まったカンフェレンスも特別な数日間でした。まさに異文化コミュニケーションを肌で感じる機会でした。また、日本語FLTAと披露した舞台に様々な国のFLTAが感想を言いに来てくれるなど、アメリカの学生のみならず、このような形でも日本文化を発信できた喜びを感じました。現在の大学には私を含め2名のFLTAがいます。もう一人、FLTA(ロシア語)がいるのは心強く、手続きや日々の出来事を含めてよくコミュニケーションをとっています。また、マサチューセッツ州のFulbrightの集まりがあったり、同じ大学でFulbrightという枠でも顔を合わせたりするなどして、コミュニティー活動に参加のきっかけにもなりました。
 日米委員会の方々をはじめ、教授、先生方、私を取り巻く人のおかげで、ここでの日々を送ることができていると、このような機会に改めて感謝致します。春学期、今後の学生の日本への興味や関心をさらに高めていけるよう、また日本語学習の動機づけになるきっかけを作っていけるよう努力していきたいと思います。そして、コミュニティー活動やJSAの活動にも継続して参加し、Language table へのサポートを含めて、「リソース」という立場でも、できる限り能動的に発信できるように活動してきたいと考えています。このプログラムの理念に届く活動を目指して。そのために、今学期も学生との時間、日々の小さいことから大事にしていきたいと考えています。

5. 杉浦竜也 University of Arkansas (Fayetteville, AR)

中間レポート

 アーカンソー大学( University of Arkansas)に派遣されている杉浦竜也です。初めてFLTAを受け入れる大学という事を踏まえて、この中間レポートにはなるべく幅広い情報を提供できるように心がけます。具体的な内容は、派遣先、聴講クラス、仕事、FLTAとの交流についての4点を軸に、それぞれ3つの視点から報告します。

派遣先
州について:

大学から見られる夕焼け
 ①アーカンソー州はアメリカの南部にあり、 州の愛称を「The Natural State」と呼ぶことから、自然がとても豊かでDevil's DenやOzarkにある山や湖をハイキングした時の紅葉は感動を覚えるほどです。一番好きな景色は絵に描いたような真っ赤な夕焼けで、大学やアパートから頻繁に見られますが飽きが来ないほど綺麗です。②その一方で、ウォルマートという世界最大のスーパーマーケットの本部がアーカンソー州にあるため、深夜まで営業している大型のスーパーが近くにあり生活をする上での利便性も充実しています。③また、派遣先のアーカンソー大学があるフェイエットビル市(Fayetteville)は全米で行われた "Best Places to Live"のランキングで2017年は5位(U.S. News & World Report調べ)を記録しています。主な理由として自然環境、雇用率、通勤時間、土地の値段、犯罪率、気候等の項目で評価が高く、都市全体の開発が進み人口が増えている活気のある場所であることが挙げられていました。これはシアトル(6位)やボストン(8位)を上回る順位であるため、個人的にはとても驚きでした。

大学について:

アーカンソー大学
 ①アーカンソー大学は創立1871年の総合大学で、学生数はフェイエットビルの人口のおよそ4分の1にあたる2万7千人ほどであることから、町全体を大学都市と言っても過言ではありません。その恩恵もあり大学の周りを中心として無料のシャトルバスが運行しているため、車がない留学生も自由に市街を移動することが可能です。②また、大学は多様性も富んでいて現在では120カ国から1461名の留学生を受け入れています。大学の担当者から最初に頂いたメールに「You are welcome here」という動画が添付されていて、人種や国籍などを超えて受け入れてくれる大学であるということを知ることができ、また初日から多くの方々が私たち留学生に気を遣ってくれたことでとても安心しました。③もう一つの特徴として、アーカンソー大学はフルブライト奨学金の創立者であるJ・ウィリアム・フルブライト氏が大学時代学んだ場所であり、法学部で教鞭を執った場所であり、そして学長を務めた場所でもあるという事です。詳しくは最終レポートの中で書きたいと思いますが、興味のある方は『権力の驕りに抗して- 私の履歴書(日本経済新聞社)』というフルブライト氏の自伝がありますので、是非手にとって読んでみて頂ければと思います。

聴講クラス
Second Language Methodologies(水 4:30 - 7:15)について:

日中合同発表(聴講クラス)
 ①「第二言語方法論」の授業の基本的な流れは、4人1組でグループになった後それぞれのグループが教科書の各チャプターを宿題としてまとめ、それを30分程で発表するというものでした。このような授業形式は母校(都留文科大学)のゼミも同じあり慣れてはいたのですが、一回の授業で3~4チャプターも進むため毎週ついていくのに必死で、これが大学院生向けの授業の早さだと実感しました。②この授業の一番の特徴は、各グループの発表に必ず方法論で学んだ実践的な活動が10分ほどActivityとして設けられている事です。例えばSimon SaysやPicture Describing、Verb Describing、Making a story in a circle、Filling in the blank lyrics等は、そのまま日本語の授業にも応用できるものばかりでとても参考になりました。③最後の授業では、教授から文化紹介の時間を設けてもらい、そこで一緒に聴講していた中国のFLTAと協力をして、日本と中国の似ている点や異なる点に焦点を当て、日中合同での発表を行なうことができました。作成過程も含めてとても意義深い経験をさせてもらいました。

Music and the Arts of Edo Japan(火木 9:35 - 10:45)について:
 ①「江戸の音楽と芸術」の授業を取った主な理由は3つあります。日本文化をアメリカの視点から学んでみたかったことと、授業を通じてアメリカの学生に日本文化を発信したかったことと、シラバスの内容から少しズレますが江戸時代に代表される「持続可能な社会」の考え方を芸術の視点から学びたかったからです。②クラスでは江戸の大衆文化を学ぶのと同時に、葛飾北斎や歌川広重の描いた浮世絵を西洋の物と比較しながらも学びました。例えば、ゴッホが模写した浮世絵を見比べて何がどのように違うのかそして何故彼は模写したのか考え、江戸時代の人々に根付いていた質素・素朴・自然に対する美意識の違いについて比較し、その背景や原因なども考えました。同時にこのような意識の持ち方や考え方によって、人々の精神的な豊かさや幸福度も変化し得るものだと思い、それが江戸時代の循環型社会を形成できた要因の一つではないかと考えました。③授業の流れに合わせて「浴衣の着付け」と「茶道」の文化紹介の時間を設けてもらいました。なるべく学生本人が触れて体験できるようにとこれらは日本から持参したため紹介できて良かったです。

仕事
Teaching Assistantとして:
 ①日本語を受講している学生数は、初級が58名(4クラス)と中級が37名(2クラス)、上級が15名(1クラス)で、これらに加えて不定期の授業としてProfessional Japaneseが4名とSpecial Studiesが1名いました。このような100名を超える規模の学生を教授1名と講師2名、TA1名の合計4名で担当していて、そこに私がFLTAとして授業のアシスタントに加わります。②秋学期の私の担当は、授業の観察を基本としていたため合計で8時間分の授業に参加しました。どの授業も学生の興味・関心・意欲を引き出す工夫が随所にあり、とても参考になりました。例えば、初級クラスの平仮名や片仮名の導入時にも実生活で見聞きするようなもの (料理のメニュー、お菓子のパッケージ、旅行のパンフレット、映画やドラマのポスター、俳優やセレブの名前) だけでなく、日本の童謡、俳句、漫画、オノマトペ、早口言葉など様々な角度から生きた言語を紹介していました。中級や上級の授業では、毎年12月に行われるJPLT(日本語能力試験)に対応した授業を教科書(なかま)と並行しながら行う中で、私はKahoot!というアプリを利用した4択の問題作成などを担当させてもらいました。③また、ビデオの編集や写真の撮影等が得意であったため、アーカンソー大学の日本語プログラムを紹介するビデオプロジェクトにも関わりました。URL: https://www.youtube.com/watch?v=F4Qbv9_IgJU (←こちらは上級クラスの学生と作成した映像(6分程度)で、BGMは教授のバンドによるものです。)

先生方

Kahoot!

Cultural Ambassadorとして:
 ①FLTAとして文化紹介を定期的に行えるように環境や場所の確保から始めました。主にTAがチューター活動や会議などで使用しているWorld Language Centerという場所を文化紹介の場としても利用させてもらえたため、着任して1ヶ月で第1回目を始めることができました。具体的にはMovie Night、書道、茶道、折り紙、かるた、侍の甲冑作り(ハロウィン用)、ソーラン節、たこ焼きパーティーを企画しました。同時に参加率の高い時間帯や曜日、学生の興味や関心などの情報も集め春学期の方針を固めようと考えました。②加えて、大学内のサークルやイベントにもなるべく積極的に関わりました。Japanese Student Association(以下JSA)主催の秋祭りやInternational Culture Team(以下ICT)と地域の科学館に行き、そこで日本文化を紹介するなどの手伝いをしました。③また、アーカンソー大学で過去に盛んであったソーラン節を盛り上げるために毎週土曜日に学生と2時間程練習を行い、秋学期は3つのイベント(国際教育週間のイベント、フルブライトのイベント、ICTのイベント)で踊ることができました。ソーラン節を通じて、アメリカの学生は日本語を練習できるだけでなく、法被のたたみ方などの日本文化も学ぶことができるため、春学期も是非続けたいと思いました。

ハロウィン

フルブライト イベント

法被をたたむ

Tutorとして:

オンラインの会話
 ①会話ボランティアとして毎週木曜日にチューター活動を1時間行い、そこにJSAメンバー(3名)の協力と元々チューターを担当していた方(1名)が加わり合計5名で日本語学習のサポートを行いました。②直接のチューター活動に加えて、オンラインの日本語を受講している学生向けにBlackboardのアプリを使用したオンラインサポートも週に3時間担当していました。最初は発音やイントネーションに苦手意識を持っていた学生でも毎日のように教科書の会話練習を行なうことで飛躍的に上達できたという例もあり、このような環境はとても重要だと実感しました。③また、山梨県の勤務校(甲斐清和高等学校)の協力を得てSkypeやZoomなどのアプリを通じて、言語交換を目的とした会話練習を合計で3回行う事ができました。春学期からこのような会話練習を中学校にも導入できないか現在中学の先生と検討しています。

FLTAとの交流
夏のオリエンテーションにて:
 ①8月5日から9日までの期間、ノートルダム大学に約70名(内日本人4名)のFLTAが集まりオリエンテーションを受けました。宿泊先の寮には広めのラウンジがあり、そこで他国のFLTAとご飯を食べながらざっくばらんに話しができた事もありすぐに打ち解けることができました。最終日のMicro-Teachingでは挨拶、文字、歌、数、果物などを紹介していましたが、私はimmersion teachingと称して「折り紙」を日本語のみで説明しました。②派遣先のアーカンソー大学に着任してからおよそ1週間後に、次のFLTAメンバーがオリエンテーションを受けに来校していた関係で木内さんと山本さんにも再会できました。そこで日本文化の紹介として「折り鶴」のワークショップを小規模ながら3人で行いました。③これらの活動は、日本時間の8月6日に他国のFLTAと広島の原爆についてと千羽鶴の話しをする機会があり、その日からFulbrighterを含むアメリカにいる人達と平和の象徴である鶴を一緒に折るというPeace Projectの一環として行ってきました。これまでに約130名が参加してくれて、その動画を共有すると同時に他国のFLTAの人たちが考える「Peace Project」もそれぞれ実践して欲しいと問いかけました。

話し合い(ノートルダム大学)

Micro-Teaching(ノートルダム大学)

折り鶴(アーカンソー大学)

冬のカンファレンスにて:
 ①12月6日から10日までの期間、ワシントンD.C.に約400名のFLTAが集まり再開を喜ぶのと同時にお互いの体験や経験を共有しました。私はTeaching Techniqueを発表する機会を頂き「Online Language Exchange」というビデオ会話を利用した言語交換の学習方法を50名の前で実践しました。発表後には数名のFLTAが試してみたいと言ってくれたため、発表をした甲斐があったと思い安心しました。②カンファレンス中は写真撮影などを通じて多くのFLTAと交流ができ、その結果FacebookでのFLTAとのつながりは300名を超えました。これからどのような形でこの繋がりを生かし続けることが出来るのかを考えていき、具体的な内容を最終レポートに書けるようにしたいと思います。③カンファレンスが終わった後そのまま冬休みを頂けたため、8カ国(日本、フィリピン、ベトナム、ミャンマー、パキスタン、イラク、サウジアラビア、アルジェリア)のFLTA(15名)とアメリカの東海岸(フィラデルフィア、ニューヨーク、ボストン)を旅行できたことで、他国の教育や文化についてもじっくりと話をすることができました。このようなFLTAとの交流は、期間は短いものの本当に刺激的で、FLTAプログラムの醍醐味の1つであると思います。

発表後(カンファレンスにて)

最終日(カンファレンスにて)

FLTA(カンファレンス後にて)

 手帳を見返すと予定がビッシリと書き込まれていて、文字通り「濃い」時間を過ごしたのだと改めて思いました。思い返してみると成功よりも失敗の数の方が多かったと思いますが、フルブライトFLTAのプログラムに選ばれた一人として胸を張れるように、春学期も挑戦する気持ちを忘れずに大学・学生・地域と積極的に関わっていきたいと思います。

ノートルダム大学

プログラムの応募を検討している方へ
 私の場合の面接から合格までの大まかな流れをお伝えします。日程の細かな変更やズレがあるかもしれませんが、少しでもお役に立てれば幸いです。→9月6日に面接の日程が届きました ※申込書が正式に受理された事が分かり安心しました。 →9月26日に東京で面接(日本語と英語)をしました ※志願書に記入した内容全般を面接時にコンパクトに伝えられるように準備をしました。→10月11日にJUSECによって選出されたという通知が届きました ※この時点ではまだ確定とは言ってくれないので不安でした。→2月19日に英文健康診断書の準備に関する連絡が届きました ※すぐに母子手帳を確認してどの予防接種をする必要があるのか、そしてその日数は最低どれだけかかるのかをこの時点で調べるべきだったと反省しました。2本目の接種には4週間空ける必要があるなど予想以上に時間がかかりました。→3月13日にFLTAの中間レポートが掲載されました ※前任のFLTAがどんなことをされていたのか読みながら、自身の計画を具体的に用意し始めました。→3月14日に大学のマッチングシステムAIMSの通知が届きました ※一週間以内に5つ大学から順番を決めて提出しました。→5月30日に東京でのオリエンテーションの招待が届きました ※この時点でようやく身内に合格ができたことを伝えました。→6月7日にビザの申請とアメリカでのオリエンテーションの連絡が届きました ※渡米の日程がこの時点で決まるため、予定の最終調整をしました。→ 6月16日にフルブライト・ジャパンのオリエンテーションに参加しました。 ※FLTAのレポートに書かれていないような保険や銀行口座の具体的な話なども聞けるように予め質問をいくつか用意しました。

6. 得田真実子 University of Notre Dame (Notre Dame,IN)

中間レポート

 2017年度FLTAとしてインディアナ州のノートルダム大学に派遣されております、得田真実子と申します。今回の中間レポートではプログラムの前半を振り返り報告させていただきたいと思います。

1.派遣先大学に到着するまで
 応募から派遣先大学でプログラムが始まるまでの流れをざっくりとまとめておきます。アメリカで母国語を教える立場と、学生として学ぶ立場の両方を体験できるところに私は魅力を感じFLTAプログラムへの応募を決意いたしました。8月末に応募書類を提出し9月に面接を受けました。日米教育委員会からの推薦をいただけることが決まったのが10月、最終選考を通り派遣先の大学が確定したのは4月という、今思えば長いスパンでの選考です。ただ、決まってからは渡米まで時間もないうえに、ビザなどの手続きなどで準備に追われたので、振り返ってみるとあっという間にアメリカに来たなという印象です。6月には日本で事前オリエンテーションがあり、昨年度派遣された先輩方から直接お話を聞けたので、大きな不安感もなく、むしろ期待でいっぱいでした。
 アメリカに着いてから派遣先大学に向かう前に、サマーオリエンテーションがいくつかの大学で行われます。私の場合は派遣先とオリエンテーション先が同じ大学だったのですが、多くのFLTAはサマーオリエンテーションの大学から派遣先へと各々旅立っていきます。FLTAとしてプログラムに参加するうえで、知っておくべきこと(特にアメリカの大学での文化・多様性、ポリシーなど)、言語を教えることの意義や教授法など様々な講義を受けながら、他国のFLTAと交流できたのは貴重な経験の一つです。FLTAは出身国の文化や言語を教えることへの熱意に溢れた人たちばかりなので、大きな刺激を受けた5日間でした。
 簡単に派遣先の大学について紹介いたします。シカゴから2時間半ほど離れたノートルダム大学は、学生数1,2000人ほどのカトリック系の共学私立校です。アメリカンフットボールが特に有名で、シーズン中のゲームデイはアメリカ全土から観戦に訪れた人達でキャンパスが賑わいます。勉学以外にも学生クラブやスポーツ、コミュニティサービスなどに携わっている学生が多く、大量にある日々の課題とのバランスを上手にとりながら学生生活を送っている印象です。
 ノートルダム大学は私を含め11名のFLTAを受け入れています。ノートルダム大学に派遣されるFLTAの活動の大きな特徴の一つとして、ノートルダムの学生だけでなく、定期的にそれぞれの国の文化や言語を地域の小学生に教える機会があります。

2.FLTA・日本語プログラムの一員として
 私は大学を卒業してからすぐにFLTAに参加する形だったので教授経験が全くなく、できることが他のFLTAの方より限られていました。そのため授業を担当することはなく、代わりに授業外の活動を担当させていただきました。私の秋学期の仕事は1)会話テーブル・映画ナイトの運営、2)毎日の宿題の採点補助、3)イベント運営の手伝いでした。空いた時間はできるだけ授業の見学などに入るようになっていました。特に会話テーブルと映画ナイトは内容から全て任せていただいたので、自分の裁量で一回一回の運営をすることができたのは楽しい経験でした。会話テーブルは自由会話の時間と、回によっては日本の生活を紹介したり、日本語を使うゲームを取り入れたりして、日本のことを知りつつ学生に楽しく日本語を使ってもらえるように工夫しました。会話テーブルは毎週、映画ナイトは隔週であったので、毎回の準備をするのがとても楽しかったです。また、後半になるとロースクールに派遣されている検察官と検事の方々が来て下さるようになりました。学生が日本人と話す機会をより多く持てるようになったので、とても助かりました。
 宿題の採点補助も初めのころは全然慣れなくて、間違いや不自然な答えをどう直したらいいのか担当の先生に聞きながら行っていたので、今思えば逆に先生の負担だったのではと申しわけない気持ちになります。それでも、宿題を通して学生をみることを体験できたのはとても勉強になりました。授業内の発話だけでは測れない、各学生の強みや弱点を見ることができるんだなと気付くことができました。
 自分に教師としての下地が全くないので、全体のコースをどう組み立てていくのか、コースプランに沿って一つ一つの授業はどう進めていくのか、授業内でどのように学生にキューを出すのか、などの「言語を教える/授業をもつこと」の基礎を、見学や業務を手伝う中で学ぶことがとても多かったです。特に授業を実際に行う時にどういうことに気を付けなければいけないのかは大変勉強になりました。学期終わりに指導員の先生の授業を一部やらせてもらいましたが、見るのとやるのでは大違いで、終わった時には反省点ばかりで少し落ち込みました。「経験を積むこと」「準備を入念にすること」など基本的なことがどれだけ難しく大切か学ばせていただきました。
 今学期は文化イベントとしてキャラ弁作りがあったので、メインの先生の補助もさせていただきました。宣伝用のポスターやインストラクションの作成に加え、当日は日本のお弁当文化についてのプレゼンテーションもさせていただきました。初めて企画されたイベントだったので、イベントを一から作ることの大変さや、どういうところに気を配らないといけないのかなど、今後自分で企画を立てるときにも役立つような経験でした。他にも学生が運営しているジャパンクラブに教職員として泊まりのイベントに参加したりしました。
 最初は学生とほとんど交流できず不甲斐なさを感じました。でも授業見学やイベントを通して徐々に名前を憶えてもらうと、授業の前や後などに話しかけてくれた時や、キャンパスで偶然すれ違った時にも「得田先生、こんにちは」と挨拶してくれた時は心が温かくなります。学生にとっては私も先生の一人なんだなと実感すると同時に、経験がないことを言い訳にしてはいけないと気が引き締まる瞬間でもありました。

3.受講した授業
 自分が学生として、"Methods in Second Language Teaching"と"U.S. Foreign Policy"を受講しました。国際関係学を大学で専攻していたので、政治に興味をもちForeign Policyを選択しましたが、授業についていくのは本当に大変でつらかったです。クラスメートのほぼ全員が英語ネイティブの学部生だったからか、教授も話に熱が入るとどんどんスピードアップするので、その結果、教授の話すスピードに全く追いつけませんでした。ディスカッションの時には話の流れを追うのに精一杯でした。もう一つのMethodsの授業では第二言語教授法について学び、実際に教案を書いたり、スピーキングなど4技能のアクティビティを考えたりと、将来自分が教壇に立つ際に必要になるだろう実践的なことを多く学べたと思います。特に学期末にあった模擬授業はSelf-Reflectionの為に録画されている自分の授業を見る機会があったので、客観的に自分の授業を振り返ることができ、これから身に着けていかなければいかないことを分析することことにつながりました。

 この半年で経験したことを踏まえて、何か自分の中で一つなり二つなりステップアップすることが今学期の目標です。長いようであっという間に時間が過ぎることは先学期に身をもって体験したので、毎日何かを学ぶ姿勢でいることを心がけようと思います。

7. 山本智之 Pacific University (Forest Grove, OR)

中間レポート

初めに
 オレゴン州のパシフィック大学にティーチングアシスタント(TA)として派遣されている山本智之です。24歳、佐賀県出身、佐賀大学卒業で、佐賀で高校の英語の教師になることを目標にしています。実は大学在学中(3年生~4年生)にこのパシフィック大学に交換留学生として留学した経験があり、留学中にFLTAとして働いていらっしゃった畠山さん(2013年度参加)とお会いしてこの仕事に興味を持ったというのが応募のきっかけです。ご縁と機会に恵まれてこういう経験をさせていただいていることを本当にありがたく思っています。この中間レポートでは項目に分けて、新しく発見したことや、自分がこちらに来る前に気になっていたことを中心に、書きとめていきたいと思います。

オレゴンについて、ポートランド、雰囲気、パシフィックについて
 私が住んでいるForest Groveという町は、田舎の雰囲気があって、自然が豊かでキャンパスにはリスがたくさんいます。車を持っていないので、都会と比べると不便があるかもしれませんが、バスは頻繁に通っていますし、キャンパスの周りには、スーパー、銀行、バー、ピザ屋、タイ料理屋、中華料理屋、コンビニなど生活には困らないくらいのものは揃っています。バスと電車で1時間半ほどかけるとポートランドという大きい街に行くことができます。ポートランドは世界一住みたい街に選ばれたことがあるらしいです。私が感じる限りでは、治安もよく、危ない目にあったなんてことは一度もありません。一方、マリファナが合法であり、街中でよく匂いをかいだりすることはあります。
 パシフィック大学は3500人ほどの大学で、日本語の授業を取っている生徒は大体70人前後くらいだと思います。ハワイアンの生徒が多く、黒人の生徒が比較的少ないようです。小さい学校ではありますが、図書館、ジム、プール、体育館、音楽ホール、ピアノ練習室などの様々な施設が無料で使えて、どの施設もきれいです。日本人留学生も10人~20人くらいが毎年来ていて、日本語学習者との交流も盛んです。
消費税が0パーセントであったり、ビールが有名であったりと素晴らしいことはまだまだありますが、全て紹介するときりがないので、ここでは割愛します。田舎出身の私にとってはとても居心地のいいところでとても気に入っています。

TAの仕事
 パシフィック大学でのTAの仕事は主にクラスに出て、先生の補佐をすることと、クラス外でのアクティビティを担当することです。他にもTAが3人いて、彼らとともに生活しています。オーストリア人、ベルギー人、コロンビア人がそれぞれドイツ語、フランス語、スペイン語を担当していて、それぞれ似たような仕事をしているため、お互いにアドバイスを共有したりしています。仕事内容はわかりやすいように項目に分けました。
(1)クラス
 クラスでは基本的にメインの先生を補佐するアシスタントをしています。会話のモデルを示すためにクラスの前でデモンストレーションをしたり、教室を歩いて生徒の様子をうかがったり、クラス内でゲームがあるときはその進行をしたりしています。メインの先生よりは生徒たちと年も近いので、質問されることは多いと思います。たまに思いもよらないような質問が飛び出してくることもあり、困ったりすることもありますが、クラスはとても楽しく、充実感を得られています。
(2)Japan Night
 パシフィック大学では毎週木曜日19時から1時間から2時間ほど"Japan Night"というイベントをしていて、TAがそれを運営することになっています。参加者は毎週だいたい15人から20人くらいで、毎週ひとつ日本の文化に関するテーマを決めてアクティビティをするようにしています。日本からの留学生もよく来てくれて、日本人とこちらの学生の交流の場のような感じになっています。先学期は書道、消しゴムハンコ、お月見、歌舞伎、年賀状、漫画、J-POP、浴衣、飲み会(アルコールは無し)など様々なテーマで活動をしました。生徒に喜んでもらったり、日本人と生徒が交流していたりするととてもうれしくなります。
(3)Japan Table
 Japan Tableはお昼の時間を使って、週に2回会話の練習をしたり、ゲームをしたりするイベントです。50分ほど食堂の横の広場で大きなテーブルをみんなで囲んで日本語で会話をします。初級の生徒から上級の生徒まで来るので、会話をうまく回すのが難しかったりしますが、困ったときはひらがなかるたを出して難を逃れています。生徒が授業で練習した表現を実際に使ったりできる場なので生徒にとってもいい機会になっていると思います。
(4)Tutoring
 Tutorの時間はある決められた場所に午後7時から9時の間座っていて、日本語について質問がある生徒を待つという仕事です。だいたい毎回1人か2人ほどしか来てくれますが、誰も来なかった週も1.2回ありました。誰もいない時間は課題をしたり、音楽を聞いたり、インターネットをみたりしています。生徒の中にも、他の人より学習が早い人やそうでない人もいるので、こういった場所で補ったりできるのは生徒にとってとてもいいことだと思います。

サマーオリエンテーション・中間カンファレンス
 派遣先に配属される前にオリエンテーションがあり、12月の中旬に中間カンファレンスがありました。どちらも、世界各国からFLTAプログラムの参加者が集まってたくさんの出会いがあります。オリエンテーションでも中間カンファレンスでも、言語の教授法や異文化間交流などについての講義やアクティビティがたくさんありました。私はそこで出会ったインドネシア人ととても仲良くなって、彼ら4人と旅行に行くまでの仲になりました。そこではいろんな国のいろんな考え方の人たちと出会えたのでとてもいい経験になりましたし、数日間で世界一周旅行をしたような感じがしました。

感じたこと
 全体を通してこの4,5か月間で新たな発見をたくさんしました。アメリカ人が日本語を学習することの難しさに触れたり、外から日本がどのようにみられているのかを知ったり、地球のいろんなところから来た人たちと生活したり仲良くなれたりできたことは素晴らしいことだと思います。最初に来たときは英語力も不安でしたが、徐々に向上してきている感じはします。私は佐賀で英語の教師になりたいと思っているので、将来の生徒のためにもっといろんな体験をして、英語力も向上させて、将来の生徒とたくさん共有できるように残りの日々を送りたいと考えています。

8. 横山素子 Spelman College (Atlanta, GA)

中間レポート

 Georgia州AtlantaにあるSpelman大学に派遣されている横山素子です。Spelman大学には2011年から毎年、日本人のFLTAが派遣されており、私で7人目になります。渡米前は6年分のプレッシャーを感じていましたが、歴代の先輩方が大学に残して下さった記録を参考にさせていただき、時にはお忙しい中相談に乗っていただき、今ではその歴史を心強く感じています。中間レポートでは応募からサマーオリエンテーションまでとTAの仕事内容、受講した授業、そしてイベントについて書きます。

応募からサマーオリエンテーションまで
 大学院を修了後、高校の常勤講師をしておりました。在学中は英米文学を専攻していましたが、留学経験がありませんでした。国際交流にて英語でコミュニケーションする楽しさを知り、自信をもって英語から世界が広がる面白さを生徒に伝えたい思いが募り、教員経験が生かせる本プログラムに応募しました。5月末にSpelman大学に派遣されることが決定されると、渡米直前まで健康診断と予防接種に追われていました。事前に提出した健康診断書とは別に大学独自の書類を提出しなければならず、また予防接種の内容も異なっていたためです。間に合わない場合も医師にその旨を書いてもらい、現地で残りの予防接種を受けることも可能です。
 その後、8月にSpelman大学に派遣される前にIndiana州のNotre Dame大学で5日間のオリエンテーションに参加しました。そこではアメリカでの過ごし方、注意事項や10カ月間をFLTAとしてどのように過ごせばよいか、などのレクチャーを受けました。最終日には複数のグループに分かれて全員が短い模擬授業を行いました。私のグループは全て母国語で行うよう指示があったため、言葉で多くを説明するよりも視覚教材やジェスチャーを交えて分かりやすい指示を行うことの大切さを学びました。オリエンテーションを通じて世界中からの仲間に出会い、交流し、刺激を受けることで、渡米したことに浮かれていた私もFLTAとしての自覚が芽生えました。

TAについて

おにぎり&お寿司パーティにて
 前期は初級、中級Ⅰ、Ⅱ、上級の1コマ50分の4つのクラスにティーチングアシスタントとして週3日参加しました。授業は日本語のテキスト「げんき」を元に進められます。私は、主にアシスタントとしてクラス内でコンピュータを操作したり、時に発音の見本となったり、オーラルテストの際は相手役を勤めることもありました。授業外では、週2回のオフィスアワーと週1回あるLanguage Tableにて個別に学生の質問に答えたり、課題の補佐を行ったりしました。
 また、授業以外にもJapan ClubではKomon(アドバイザー)として所属しています。2週間に一度授業を越えて日本に興味のある学生が集まり、日本文化に関するクイズを出し合ったり、「だるまさんが転んだ」などのゲームを行ったりと、学生と一緒に企画・運営しています。前期の締めくくりには、おにぎり&お寿司パーティを開催しました。おにぎりの具の梅干に挑戦する学生がいたり、一度見本を見せただけで綺麗な手巻き寿司を作る学生がいたりと私自身も楽しみながら参加できました。冬休みに学生からおにぎりを家で作ったという写真とメッセージが送られてきた時は自分の活動が少しでも学生に伝わっていることが実感でき、嬉しかったです。

授業について
 秋学期に私は二つの授業をAudit(聴講)にて受講しました。1つ目はOrientation to Educationで、主にアメリカの教育制度、歴史などについて学びました。Spelman大学はHBCU(Historical Black Colleges and Universities)であり、女子大でもあります。黒人女子大学ならではの黒人として、また女性として教育を受けることの意義を学びました。人種、性別による教育の不平等を意識しながらも、将来、子どもたちにどのような教育ができるのかディスカッションやプレゼンテーションをしました。
 2つ目はTopic: Literature, Gender, Power and Raceという授業で、黒人作家の作品から人種についてだけでなく、性差別、社会の権力構造などを作品から学びました。日本で米文学作品を読んでいた時には分からなかったBlack Cultureの文化的、歴史的背景を学生たちの実体験を交えたディスカッションから知り、作品をより深く読み取ることができました。
 また、上記の授業の他にGlobal Educationの授業にて私の教員経験と日本の学校制度についてプレゼンする機会をいただきました。この授業は世界各国の教育を学内にいる各国の先生方や留学生の話を聞いたり、自分たちでリサーチしたりする授業でした。授業内に学生から日本とアメリカの受験制度や教職課程の違いについて質問を受け、今まで意識していなかった日本の教育や学校制度について改めて考えるきっかけとなりました。

イベントにてついて
 前期にはIEW(International Education Week)という留学生がそれぞれの国の文化などを紹介するイベントがありました。日本のブースではJapan ClubとJapanese Classの学生たちも参加し、折り紙や書道をしました。中でも一番印象に残ったのは披露した盆踊りです。盆踊りを練習する中で、学生から曲を変えようと提案がありました。J-Popを想定していたら、学生が選曲したのはBlack Musicだったので、驚きましたが、実際踊ってみると曲と振付が合い、学生も私も楽しんで踊ることができました。当日、会場も盛り上がり、文化の融合を目の当たりにしました。

IEWにて:浴衣と法被を着て踊りました。
 プログラムに参加して良かったと思う点はアメリカ全土に同士がいるという心強さです。12月のカンファレンスで出会った約400人のFLTAたちはもちろんこと、他のフルブライトプログラムに参加しているフルブライタ―とも交流があります。冬休みにはSalt Lake Cityに遊びに行き、ブラジル人のFLTAを訪ねました。そこで他国のFLTAやその友人たちと交流の輪が広がりました。Atlantaには、Fulbright GA(Georgia)という支部があり、そこでの企画に参加したことで大学を越えて友人ができました。また、学期の途中では、同期の日本人FLTAたちと連絡を取り合い、近況報告をし合うことで安心感を得るとともに刺激を受けました。
 初めての留学であり、ホームシックにもなり、授業についていけず、授業とTAの両立が上手くいかない時もあり、とても落ち込んでいた時期もありました。しかし、先生方や友人に支えられ乗り越えることができました。辛い時は我慢せず素直につらい時期だと認めて無理をせずに過ごすことの大切さを実感しました。仲間、先生方、スタッフの方々の支えがあってこそ今の私がいるのだと実感しています。
後期は前期の反省を踏まえつつ、残りの日々を悔いなく過ごせるようにしたいです。